やっと観れた❗
和山先生は「うしろの二階堂」から好きで、本作の映画化が決まった時から楽しみにしていました。
と、言いつつも、まあみんな思っているだろうけど
漫画原作の実写映画って、漫画の絵としてのキャラクタービジュアルイメージが強いので、それをどう生身の人間に置き換えて、受け入れられるかが重要だと思うんですけど
やっぱりどうしても実際の映画を観るまではビジュの一致度に注目してしまい😶
和山先生の描くキャラクターってリアルテイストなタッチで本物の人間が想像しやすい分、こういった実写化した際演じられる俳優さんとのビジュアルの比較がしやすいのもあり
(あと全体的にみんな面長なイメージが強い)
正直成田狂児が綾野剛さんと発表された時、
え〜結構ビジュ違くね…⁉️
と思ってました、すみません
聡実くんも大々的なオーディションが開催されて斎藤潤くんに決まりましたが
私はまたこれも、え〜結構(以下略)と思っていました、すみません
なので映画は評価見てから観に行くか決めようと思っていました。
そして周りの評判が上々だったので観に行くことに。むしろ良すぎて楽しみだった(ちょろい)
ちょうど最近、続編漫画「ファミレス行こ。上」が刊行されたこともあり、3年ほどぶりに「カラオケ行こ!」を直前に読み返していたので、原作コミックとの違いを楽しむことができました。
学生時代に授業でメディア化されたものを原作と比較する、みたいな授業をとっていたんですけど、
この経験があって映画観るときに小物など注視するクセがあり、これが結構面白いので、感想挟みつつ比較していこうかなと思います。
⚠️以下、ネタバレ注意⚠️
全体の流れの違い
まず初めに、メインとなるストーリーは
『中学3年の岡聡実と、ヤクザの成田狂児の数ヶ月間の交流』で、
原作コミックではこの一連の出来事を「高校3年生の岡聡実の卒業文集の内容」として描いています。
ですから途中途中、振り返った目線でのモノローグが挟まれているのですが、
映画ではそういった振り返り目線ではなく、現在進行形の出来事として進んでいきます。
台詞ではない、登場人物の心の内を直接書くモノローグって小説や漫画ならではのものだけど、カラオケ行こ!では聡実くんのツッコミとかが台詞外で行われることも多かったのでナレーション入れるタイプなのかな〜とか少し気になっていましたが、
ナレーションとかそういうのはなく、現実的にその空間で起こっていること、生まれた空気を 必要なら台詞、役者さんの表情や演技で表現していて、原作コミックに忠実でありながらきちんと“実写”として作られていてよかったな
【映画オリジナル】愛について
全体を通して思ったのが、「愛」について語られる場面が多かったこと。
和田君がももちゃん先生に合唱コンの結果について「何が足りなかった(悪かった?)ですか」と聞いた時、「強いて言うなら…『愛』かな(指ハート)」とうセリフだったり(その後もちょくちょく、「愛だよ(指ハート)」みたいなシーンがある)、
カラオケボックスで聡実くんが紅の最初の英語部分を訳して曲の理解を深めるシーンだったり、
原作にはない「愛」について語られるシーンがいくつかはさまれていました。
愛って、なんやねん
みたいなことがおそらく映画の聡実くんには頭の片隅にずっとあったんじゃないかな
これが狂児と聡実くんの関係性についてなのか、思春期の聡実くんが大人になっていく過程での学びの一部としての表現なのかはわかりません。愛は専門外です
余談ですが、原作映画関わらず、私は2人の関係は叔父と甥みたいな目線でみています。
【比較】モブキャラの深堀り
原作コミックでは主要キャラである成田狂児と岡聡実の2人、もしくは岡聡実1人でのモノローグシーンなどが多いため他のキャラはあまり印象強くはありません。
これが映画版では主に合唱部副部長・中川さん、もう一人の男子ソプラノである後輩・和田くんのキャラが肉付けされ、聡実くんとの絡みも増加。
これによって合唱部でのシーンも増えて聡実くんの学生としての一面がより感じられるようになりました。
また合唱部顧問の女の先生が「木村みどり」先生から「森本もも(演:芳根京子さん)」先生になり「産休に入った先生の後任」という設定に。(完成披露舞台挨拶の芳根さんいわく副顧問らしい)
和田くんはこの先生があんまりわかってない❗️て感じていてちょっとプンスカしています。
そして何より、映画部が爆誕しており、1名しかいない実働部員栗山くんがオリキャラとして登場。
聡実くんは合唱部と兼任してそこの幽霊部員をしていて、声変わりで合唱部に行きたくなくなったときに映画部でサボっています。
後述しますが、この映画部がいい味を出しています。
【比較】狂児の刺青
映画は初っ端雨で濡れたシャツに透ける狂児の背中の刺青ドアップではじまるんですが、
原作ってそもそも身体の刺青に言及してたっけ❓少なくとも描写は無かったような❓と確認したところ、本編でなくおまけページのプロフィール帳に「チャームポイントは『背中の鶴の紋紋』」て書いてありました🪿
【比較】ヤマハのアニキ
原作では小ネタ程度(確認したらセリフ一枠だけだった)のヤマハのアニキ(最下位を逃れるためヤマハに通い始めた狂児の組のアニキ)でしたが、映画版では話が掘り下げられています。
というのもまず、冒頭、合唱コンの日は雨が降っており、狂児はびしょ濡れになっています。雨に濡れながらトボトボと歩いていたら、合唱コンの会場へ辿り着いたのです。
そして狂児がなぜびしょ濡れになっていたかというと、この直前、アニキが「たんぽぽ音楽教室」へと入っていくのを止められなかったんですね…。
さらに、若干うろ覚えになるのですが映画版では「ハイエナのアニキ」と呼ばれて「牙が抜かれてしもうた…」など言われていました。
【映画オリジナル】聡実くんの癖強傘☂️
映画版では、2人が出会う合唱コンの日は雨が降っていて、聡実くんは傘を持っています。
この傘が独特なカメの柄で、初めて2人でカラオケに行った際聡実くんは置き忘れてしまうのですが、
翌日(厳密には翌日かは分かりませんが合唱コン明けの学校登校日)、ベランダでたむろしている合唱部の女子たちが校門で晴れの中カメ柄の傘をさす狂児を見つけ、副部長中川さんが「あの傘って岡くんのだよね?」と狂児が校門に来ていることを教えてくれます。
そして聡実くんは帰宅後、新しい傘を買って欲しいとお母様にねだるのですが、
お父様が買ってきてくれたのは同じシリーズの鶴バージョンでした…。ちゃんちゃん。(同じやん…と文句をいいながら新しい傘も使う聡実くん、かわいい)
【比較】合唱コンの成績(違うかも)
これうろ覚えなんですが、映画版、銅賞じゃなかった…❓
原作は銀賞でした。
(間違ってたら消します)
【比較】危ないスポット
原作では狂児の車のダッシュボードで切られたコカイン星宇宙人の指を発見した流れで、
狂児が聡実くんに手書きで「この辺りには来ないでくださいって地図」をくれます。
映画では(ここうろ覚えで申し訳ないのですが確か)映画部栗山くんとの会話で
「ヤクザってミナミギンザにいるんやろ」みたいな感じでその辺りの人は知ってる風に表現されています。
ちなみに、ミナミギンザに入る路地に面した道路は聡実くんの通学路となっているため、帰り道に(ここがミナミギンザか…)と立ち尽くしているところに路地から狂児が現れ、聡実くんは無事二度目のカラオケ拉致をされるのでした。
【映画オリジナル】合唱部の歌い方ブック
傘の返却で再会した2人ですが、ヤクザに関わりたくない聡実くんはヤケクソで部室から『森丘中合唱部歌い方のしおり』みたいなホチキスどめの本を狂児に押し付け、これで練習してくれ❗️と去っていきます。
ここだけ比較になるのですが、
原作では序盤カラオケに初拉致されてすぐ名前を聞かれて答えるので狂児は最初から聡実くん呼びですが、
この本には岡聡実とフルネームで書いてあり、映画版ではこれで狂児は聡実くんのフルネームを知り、ここから聡実くん呼びになります。
そして狂児はこの本を丁寧に読み込み、二度目の紅を披露するわけですが、何しろ合唱の歌い方なので、役に立ちません。
ちなみにこの、合唱流に紅を歌う成田狂児がめちゃくちゃ面白くて多分映画内で一番笑いました。
【映画オリジナル】映画部🎬
主なメンバーは3年栗山くんのみ。他部と兼任の幽霊部員が聡実くんの他に6人(うろ覚え)いるそう。
ちなみに顧問の先生は2年ほど前(うろ覚え)に亡くなっている…👻
原作コミックでは聡実くんは中学生当時、狂児との交流を誰かに話すことはないのですが、映画ではこの映画部で鑑賞中に栗山くんに話しています。
栗山くんはさっぱりした性格をしているので、友達がヤクザとカラオケに行ってても ふーん。⚪︎⚪︎なんじゃない?みたいな返事をしてくれます。
映画部のシーンは基本的にソファに栗山くんと聡実くんが座り、カセットテープ📼で古い映画を鑑賞しながら2人が会話していますが、
全体的な流れとして狂児との交流→映画部→狂児との交流、といった感じに合間合間に映画部が入り、鑑賞している映画も聡実くんの心情にマッチするようなものになっています。
また、この映画部で観ているのがカセットテープの映画で、そのレコーダーをソプラノ後輩・和田が壊してしまいます。
そのため聡実くんは新しい中古のレコーダーを買うため、ヤクザがたむろするミナミギンザへ行くことになるのです。
そして、宇宙人に絡まれます。かわいそうに…
【比較】合唱祭の日付(うろ覚え)
原作では夏休み中の8月11日ですが、映画は10月に入っていた…よね⁉️
【比較】お守り
原作では父、母、帰省中の兄の3人からお守りをもらいますが、映画では兄が登場しないため2個。
【比較】喧嘩の理由
原作では聡実くんがいろいろと悩みが積み重なってきたころ、宇宙人との邂逅の後車内での会話で「聡実くんはのほほ~んと歌いや」と言われブチ切れますが
映画では合唱部の和田君が感情爆発し校門前に出て行ったのを副部長の中川さんと追いかけ、和田くん・中川さん・聡実くんでもめているところを見ていた狂児がニタニタしていたことでブチ切れます。
【映画オリジナル】音叉
なんといっても音叉❗️これが結構キーになっています。
原作では出てきませんが、初回のカラオケで聡実くんが音叉を使って音の高さと振動の説明をします。
へーと思いながら私も聞いてました。
狂児もマイ音叉を購入し、これをマッキー的なペンでゼブラ柄にします。
これでゼブラ柄音叉が狂児の音叉である、という重要な要素になりました。
そして終盤の事故の際、このゼブラ柄音叉が事故現場に落ちているのを見つけた聡実くんは狂児が事故ったことを確信します。
【比較】事故
原作では、合唱祭に徒歩で向かう聡実くんがなんでもない道路で事故現場にでくわします。
車が狂児のと一緒なので、まさかな…と思っていると警官の「車の持ち主は成田狂児という男です」という会話を聞いて、狂児が事故に遭ったことを確信します。そしてすぐさま電話をかけるも繋がらず、ヤクザの決戦の地、スナックカツ子へ乗り込むのです。
映画版では、まず聡実くんはバスで合唱祭の会場に向かっています。そしていつものカラオケ店の前で狂児と同じ車がぶつかられている事故現場を通りかかります。
意図的なのかは分かりませんが、それまでの映画内で狂児の車のナンバープレートを映すアングルが多めだった気がしました。といってもナンバープレートではあんまり狂児の車だ❗️とはならないよね。
そこで登場するのが狂児のゼブラ柄音叉です。事故現場にそれを見つけた聡実くんは、その横で担架で運ばれている黒いスーツを着た人物の腕から大量の血が流れているのを目にします。
動揺したまま会場に到着し合唱の事前練習に参加する聡実くんですが、「歌えません」と宣言し、部屋を出て狂児に電話をかけ、スナックカツ子へ乗り込みます。
ここのシーンに関しては、漫画版も映画版もどっちもいいなー❗️って思いました。
【比較】ネタバラシ
ヤクザの決戦場、スナックカツ子に乗り込み「狂児は地獄へ行った」と聞かされた聡実くんは、気持ちを爆発させて大暴言を吐木、去ろうとしたところを組長に呼び止められ「狂児への鎮魂歌」を一曲歌うよう言われます。そして歌われる、紅…
原作では歌い終わった後、ヤクザたちが良かったなあ❗️すげえなあ❗️てしてるノリに混ざって事故後初めてそこで狂児が現れて肩組んでくるわけですが、
映画では聡実くんの紅歌唱中にワンカット狂児がもう映っています。
あ、もう映すんだ⁉️て思いましたが、原作ではどんな表情で聡実くんの歌を聴いていたのかわからなかったので、あんな感じで聴いてたんだな…。て思いました。
【比較】3年後
原作ではそもそも聡実くんの高校の卒業文集の内容を隣のクラスの女子たちが読んでる、というテイなので、組のカラオケ大会のあと〜高校卒業までのことは「狂児にはあれから会っていません」と綴られたのみです。
映画版では中学の卒業式後、映画部の掃除をしながら栗山くんとの会話で「狂児と連絡がつかなくなった」と聡実くんは言っていて、栗山くんが「ミナミギンザは潰されてでっかいビルが建つらしい、3年後くらいに」と言っています。
【比較】名刺の行方
原作でも映画でも序盤、聡実くんは狂児に「よろぴく」と名刺をもらいます。
原作ではこれを初回のカラオケで紅の初歌唱中にカラオケ店のソファーの裏にねじ込み、高校卒業後の打ち上げでこの名刺を見つけます。
映画では高校の描写はないので、初回のカラオケの時に聡実くんのリュックのポケットに(確か狂児が)しまいます。
そして最後、聡実くんはミナミギンザのビルの屋上で、自分のリュックに入った狂児の名刺を見つけ、狂児が幻じゃなかった証拠を手にし、映画は終わります。
EDのリトグリ&合唱団の紅が超良い❗️❗️❗️❗️
などと思って気を抜いていたら、ED後に不意打ち、
ミナミギンザ跡地に建ったビルを眺めながら、狂児が聡実くんに電話をしています。
腕まくりした右腕には、「聡実」の二文字を彫られて、ね………
まとめ
良かったです❗️❗️❗️
大筋は原作通りなんですが、前述したいろいろな変化がありました。でもそれが全然不自然じゃなくて、原作にあってもおかしくないシーンばかりでした。なんというか、未公開シーンを観せてもらったような気分です。
そしてなんと言っても、これは映画にしかできないことですが、みんなの歌唱シーンが聴ける❗️
ずっと気になってたんです、「ヤクザが歌う、終始裏声が気持ち悪い紅」ってどんななんだ…❓と…
あっ、聡実くんの言ってること、わかるわ…て気持ちで聴いていました。
ていうか紅を初めてまともに聴きました。前奏、長えなあ。
終盤の齋藤潤くん演じる聡実の紅もとても良かったです。
私には声変わりの辛さとかわからないんですけど、なんか、あったよね、海外の有名な少年合唱団もソプラノは限られた期間しか歌えない天使の歌声的な、ね…(全てが曖昧)
観終わった後、家族と通話したんですが、関西弁がうつってて恥ずかしかったです。
エセ関西弁話したら関西の人に⚪︎されると思っています
言いたいこと、全部書けたかな…。
あ、実写になって思ったんですけど、
成田狂児、距離近いな……。
おもろいから、実家帰った時家族と観たい、観てほしい。
キャスト発表後のいらん心配は、いりませんでした❗️
素敵な映画を作ってくださって、本当にありがとうございます。
ファミレス行こ。下早く読みたい。
追記
※書き忘れたところや後から思ったことをちまちまサイレント加筆したり修正したりしています。
言い忘れたんだけどサントラがすごく良いです。主に狂児と聡実くん2人のシーンで流れる音楽がとても良い。
Spotifyで聴いてたら似た曲調のタイトル違いが数曲あるので、場面によってアレンジ加えられてるみたいです。
映画『カラオケ行こ!』オリジナル・サウンドトラック - Album by Hiroko Sebu | Spotify
これを流すことで余韻に浸れます。